この記事を読めば次のことが分かります。
▶ 退職代行サービスを使われることが会社にとって「ありえない」理由
▶人事担当者が感じる退職代行サービスのメリット
社員に退職代行サービスを利用された経験から、人事担当者の立場として、「ありえない!」と感じる理由についてお伝えするとともに、とはいえ事情によっては退職代行サービスを利用するのもやむを得ないかと感じる「退職代行サービスのメリット」についてご紹介します。
人事部に所属している筆者が、実際に退職代行サービスを利用された会社側の立場でこの記事を書いています。
退職代行サービスとは?歴史やサービスの概要について
退職代行サービスは、「転職を考えたことが無かった人」や「ブラック企業へ勤めた経験の無い人」には、あまり馴染みのないサービスかと思います。
それでも実は、民間調査機関の調査によると、
20~30代の退職代行サービスの認知率は6割を超えているのです。
出所:日本労働調査組合「退職代行サービスに関するアンケート」
【調査概要】
■調査名:退職代行サービスに関するアンケート
■調査期間:2021年4月1日~2021年4月2日
■調査対象:全国20~39歳の会社員(男性・女性含む)
■有効回答数:523名
そんな退職代行サービスについて、
・歴史(いつから始まったサービス?)
・概要(どんなメリットがある?)
・サービスの流れ(退職までの手続きは?)
をお伝えしていきます。
退職代行サービスの歴史
退職代行サービスは、実は10年以上前から『弁護士が行う業務の一貫』としてすでにあったサービスです。
ブラック企業や人手不足を背景に、会社を辞めたくてもやめられないという現代の労働者のニーズが高まりました。
そのニーズに応えるべく、2017年ごろから複数の業者が「退職代行サービス」を始めたことがインターネットで話題となり、2018年にNHK某番組で取り上げられて以降、急速に民間での認知度が高まりました。
今では退職ニーズの高い20代~30代では6割以上の認知度!
退職代行サービスの概要
そんな、近年で急速に拡大した「退職代行サービス」の概要についてお伝えしていきます。
退職代行サービスとは、労働者の退職の意向を、退職代行業者が会社に伝え、退職に必要な事務的な手続きを行ってくれるサービスを言います。
退職代行業者に依頼すれば、会社(上司や人事部)に直接退職を申し出る煩わしさから解放されます。
まさにSNS世代と言われる若い世代にとってはありがたいサービスなのです。
人によっては、「会社を辞めることぐらい自分で伝えるべきじゃないの?」と思うのは当然でしょう。
それでも利用されているのはそれだけのニーズがあるということの裏付けでもあります。
ところで、退職代行業者を通した退職って認められるものなの?
これは法的には全く問題がありません。
民法では、雇用期間の定めのない者は2週間前に退職を伝えれば、いつでも退職できると定められているからです。
会社側は、労働者から退職の申し出があったら断る権利はありません。
第六百二十七条 当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。この場合において、雇用は、解約の申入れの日から二週間を経過することによって終了する。
引用元:民法第627条
ただし、退職代行業者が行える業務は、「退職の意思を伝えるだけ」であり、それ以上のことはできません。
弁護士以外が法律事務を行うことは非弁行為に抵触する恐れがありますからね。
退職代行サービス利用の流れ
次に、退職代行サービスを利用した場合の一般的な流れについて知っておきましょう。
※ サービスによって詳細は異なります。
STEP1:退職代行サービスへ相談する
・電話やお問い合わせフォーム、LINEにて相談を受付。
・基本的にはこの相談は無料で行われる。
STEP2:退職代行業者へ正式に申し込みをおこなう
・相談をした結果、正式に退職手続きの代行をお願いする業者を決定。
・この正式申込はSTEP3の退職代行サービス利用料金(または着手金)を支払うことが多い。
・このタイミングでは、退職代行サービス会社のサービス範囲をしっかりと確認しておくことが後のトラブル防止となる。
STEP3:退職代行費用を支払う
・退職代行費用相場は3万円~5万円。
・支払方法は振込、クレジットカード払いなど。
STEP4:退職代行業者の担当者と打ち合わせ
・退職代行業者と詳細の打ち合わせ。
・現在の状況、退職理由、電話を会社にかける日時、会社に伝えてほしいこと等をすり合わせる。
STEP5:退職代行業者が本人の代わりに退職の意思を伝える
・退職代行業者が打ち合わせ内容を基に会社に電話をかけ、申込者の退職の意思を伝える。
STEP6:退職代行業者から退職承認の報告を待つ
・退職代行業者から、会社より退職の承認を得ることができた旨の報告を待つ。
・退職承認後、「退職届」「健康保険証など会社貸与品」を会社に郵送し、退職の手続が完了。
会社にある私物や源泉徴収票、離職票など郵送してもらいたいものがある場合は、あらかじめ退職代行業者へ伝えておくと良い。
退職代行サービスがありえないと感じた理由(人事担当者の実体験より)
退職代行サービスの概要について理解をしていただいたところで、1人の社員が実際に退職代行サービスを利用して退職した時のことを振り返りながら、「退職代行サービスを利用する社員はありえない」と感じた理由について3つお伝えします。
- 「退職代行サービス=ほぼバックレ」だから
- 退職代行業者への事実確認が手間だから
- 退職代行サービスへの理解が無い上司が居るから
「退職代行サービス=ほぼバックレ」だから
退職代行サービスを利用するということは、もう退職する社員が出社することはありません。
直接連絡を取ることができなくなりますから、会社側が受ける感覚としては「バックレ」に等しいです。
当然、退職する社員が抱えていた仕事はそのまま会社に放置され、引継ぎがされていない状態となります。
業務引継ぎがしっかりと為されていないことで顧客との取引の漏れが発生したり、プロジェクトの進行に遅れが発生するリスクがありますから、会社にとって痛手となります。
その観点で言えば、会社側としては「退職代行サービス」を利用する人は責任感が無い人だと思うのは当然です。
また、1人の社員が退職するなら代わりの社員を雇いたいところですが、事前の相談無く急に「退職申し出」がされるため、採用計画にも狂いが生じます。
要員減の状態で業務遂行しなければならない部署を生み出さないよう、社員の退職は遅くとも1ヶ月前には把握しておきたいのが会社の立場としての意見です。
>>『退職したいです』が言い出せない!上司や職場の反応が怖い!キレイさっぱり退職する方法
1人の社員を中途採用するだけでも、転職サービス会社への広告掲載手続きや採用面接、職場のハード面の手配など、手続きは少なくありません。
退職代行業者への事実確認が手間だから
退職代行業者って何社あるか知っていますか?
2020年のデータですが、退職代行業者は100社以上存在すると言われています。
ですので、会社の人事担当からすると、
「〇〇退職代行サービスの●●と申しますが、御社のAさんに代わり退職の申請をさせていただきます。」
と突然電話を受けたらまず思うのは、
「この連絡は本当に信じて良いものなのか?」
ということなのです。
退職代行業者による第三者手続きを受け付けるためには、退職する本人が確認できる証拠書類の提出を求めるなどの手間が発生します。
そんな作業をしながら、「直接言ってくれればこんな面倒な作業しなくても良いのに…」と思ったりすることもあります。
退職代行サービスへの理解が無い上司が居るから
これは退職代行業者による退職申し出を受ける会社側の問題でもあるのですが、そもそも退職代行サービスへの理解が無い人がまだ多いのが現状です。
・退職代行業者?なんだそれ?
・退職代行を使われただと?その社員は誰だ?
なんて上司によって対応は様々ですが、面倒な話を上司にしなければならないことには変わりません。
退職代行サービスを利用すべきだと感じるケース
上記のとおり、「退職代行サービスを利用するのはありえない」とお伝えしましたが、筆者から見ても、このケースなら退職代行を利用しても仕方無いなと思えるものを3つ挙げてみました。
- 不当な労働を強いられている場合
- 過去に退職を申し出たのに引き延ばされている場合
不当な労働を強いられている場合
ここで言う「不当な労働」とは例えば次のようなものを指しています。
- サービス残業の強制
- 休暇が取得できない
- 上司からの指導が人格侵害を犯している 等
こうした劣悪な職場環境で働いている場合は、1人の力で職場の環境を変えるのは困難でしょうから、職場とのトラブルを回避するためにも「退職申請のプロ集団」である退職代行サービスを選択するのは間違ってはいないでしょう。
過去に退職を申し出たのに引き延ばされている場合
退職代行サービスの利用を余儀なくされる主なケースとしては、退職を申し出ていても会社や上司からの引き留めにあい、なかなか退職できずにいるケースが挙げられます。
これまで何度も退職申請をしているにも関わらず、退職ができない状況が続く理由は、「あなた自身に会社への情が残っている」もしくは「あなたが申し出た内容を潰されている」可能性があるのではないでしょうか?
後者の場合、申し出者を変えるという意味でも退職代行サービスを利用するのは有効な選択の1つであると言えるでしょう。
>>関連記事:【確実に退職できる理由3つ】上司からの引き留めを徹底回避する退職理由とは?
退職代行業者を選ぶなら実績を重視
前述したとおり、退職代行サービスは利用せざるを得ない事情があるなら利用しても問題のない「立派なサービス」です。
100社以上存在すると申し上げましたが、退職代行サービスを選ぶ際に非常に重要なこととしては「退職できるか否か」これに尽きると思います。
ユーザーの目的が「退職すること」ですからね。
ですから、退職代行サービスを選択する際は退職代行NEXTのように退職できなかった実績がゼロの会社を選びましょう。
\公式HPはこちら/
以上、退職代行サービスを利用する人は、心の底から退職したいと思っているはずで、それでも何かしら自分で言えない事情があるなかで代理人を立ててまで退職の申し出をされているでしょう。
退職代行サービスを利用することは事情によっては仕方ないことだと思いますが、可能な限り後腐れの無い会社の辞め方ができると良いですね。