近年、大企業においても”早期退職者の募集”を断行する流れになってきました。
※日テレ・テレビ朝日より
「経済界は終身雇用なんてもう守れない」
「(終身雇用は)制度疲労を起こしている」
2019年4月
経団連 中西宏明会長
(日立製作所)
「終身雇用を守っていくのは難しい局面に入ってきたのではないか」
2019年5月
日本自動車工業会 豊田章男会長
(トヨタ自動車)
「大企業=安定」
といった、かつてのイメージが揺らごうとしているのです。
これから就職活動を行う学生の方、現在大企業で働くサラリーマンの方には、その現実を認識し、今からでも行動に移すべきではないでしょうか。
大手インフラ企業に7年勤める筆者も、危機感を感じています。
「大企業に入れば一生会社が守ってくれる」という思考は捨て、自らの足で立ち続けないといけない時代に突入しているのです。
✔ 終身雇用の崩壊を示す大企業による人員整理情報まとめ
✔ これからの時代を生きる大企業の社員が考えるべきこと
「大企業は安定=終身雇用」の崩壊
冒頭の日立製作所会長、トヨタ自動車社長の言葉でもご紹介したとおり、これまで日本企業の軸であった「終身雇用」の崩壊が始まっています。
複数の企業が先行型の早期退職を募集し、大量採用していた「バブル入社組」を切り捨てることに舵を切り出しました。
そうすることで専門的知識を持つ若手人材や中途の優秀な人材を確保することもできます。
競争の厳しい会社経営の視点で考えれば、当然の考え方です。
更には、欧米の企業ではスタンダードになっている「ジョブ型」への移行を始める企業も増えていくことでしょう。
通信大手のKDDIが先行的に動いています。おそらく他の大手も追随するのではないでしょうか。
KDDIが、業務に対して処遇する「ジョブ型雇用」を導入する方針を打ち出したことが話題となっている。これは事実上、日本型雇用の崩壊であり、今後は多くのビジネスパーソンがキャリア戦略の根本的な見直しを迫られることになるだろう。
https://news.yahoo.co.jp/articles/33819d7f500a6b55aee767406fd4b0622e279507
日本型雇用は、終身雇用、新卒一括採用、年功序列の3つを特徴としているが、この3つの慣行は経済成長が半永久的に続かない限り、維持することが難しい。
「大企業=安定」を覆す昨今の人員整理まとめ
昨今の大企業における人員整理(早期退職募集など)を行った(あるいは示唆した)主な大企業についてまとめてみました。
(2020年8月現在)
企業名 | 業界 | 年月 | 概要 |
アステラス製薬 | 薬品 | 2018/5 | 早期退職優遇制度の導入 |
富士通 | IT・電機 | 2018/10 | 間接部門社員の配置転換 |
東芝 | 電機 | 2018/11 | 早期退職者の募集 |
中外製薬 | 薬品 | 2019/4 | 早期退職者の募集 |
キリンHD | 食料品 | 2019/10 | 早期退職者の募集 |
みずほFG | 金融 | 2019/11 | 企業年金の事実上廃止による早期退職者の募集 |
LIXILグループ | 金属製品 | 2019/11 | 早期退職者の募集 |
三菱自動車 | 自動車 | 2019/11 | 間接部門を中心とした大規模リストラを示唆 |
サッポロHD | 食料品 | 2020/2 | 早期退職者の募集 |
レオパレス21 | 不動産 | 2020/6 | 早期退職者の募集 |
業績低迷による組織構造の改革
外資企業との競争が著しい電子・IT業界に属する富士通や東芝、長く業績の低迷が続く三菱自動車、アパートの施工不良問題で業績が低迷するレオパレス21については、早期退職者を募集し、組織の若返りを目指しています。
会社を再建させるためにも、短期的に効果が出る施策は、経営に重くのしかかる”高賃金だが生産性の低い高齢社員”を切り捨てることであることは想像し易いですよね。
業績好調でも業界変化を見据えた組織構造の改革
業績が低迷しているのであれば、こういった早期退職などによる人員整理はうなずくことができます。
しかし一方で、中外製薬やキリンHDは当時の決算で過去最高益を記録するなど、業績が好調にもかかわらず大幅な人員整理を行ったことが印象的です。
中外製薬やキリンHDが人員整理に踏み切った理由は、次のとおりです。
■中外製薬
新薬開発の難易度が上昇したことや、薬価改定により薬の価格が引き下げられることで経営に与える影響を鑑み、先行的に人員整理を行ったというものです。
■キリンHD
酒税改定をを鑑み、利益が上がっている事業に人を集中させるなどの組織の再編を進めるといった施策です。
大企業の社員が今考えるべきこととは?
これまで述べてきた事例のとおり、有名な大企業であっても
- 会社の業績低迷
- 事業構造の変化による先行きの不透明化
により、人員整理の判断をすることは今後ますます増えていくはずです。
筆者も大企業に勤める30歳前の社員ですが、20年後に早期退職を募集される可能性は十分にあると危機感を感じています。
ですので、いつ「早期退職」「リストラ」「末端部署への左遷」をされても生きていける力を付けるよう、今すぐ準備を進めるべきだと感じています。
給料以外の収益源を作る
● 早期退職による収入減
● 想定よりも上がらない給料
● 企業年金減額による老後の不安
これらを払拭するには、20~30代の頃から給料以外の収益源を作っておくことです。
投資による配当金収入や副業収入を作り出すことで、先行きの見えない将来に備えておくことが必要なのではないでしょうか。
市場価値(=社外からの評価)を上げる
大企業一筋で勤めてきた社員が、40~50代になって早期退職をした先に受け入れてもらえる会社が存在するのでしょうか。
ましてや大企業の40~50代の社員ともなれば高給のはずで、転職先を見つけたとしても同じ待遇で雇用してくれる会社は無いでしょう。
ですので、大企業の社員は不安定な将来を見据えて、社内の評価を上げることも大事ですが、社外の評価を上げることにも注力するべき時代です。
例えば次のようなスキルを身に着け、他の企業でも活躍できる人材を目指したいですね。
- 英語力
- マネジメントスキル
- プログラミング
なお、自分の市場価値を上げるには、そもそも自分の市場価値を把握しておかないと、
✔ 自分にはどのようなスキルが足りないのか
✔ 自分の”売り”は何なのか
といったことが分からないので、今すぐに転職を考えていなくてもリクナビNEXTに登録して自分の市場価値を確認してみることをおすすめします。
私も転職は検討していませんが、転職サイトへの登録は済ませています。
\リクナビNEXTよりも求人数が多い?/
30歳手前で大企業に勤める筆者も含め、終身雇用、年功序列が当たり前であった親世代とは異なり、まさに実力主義の世界で生きていかなければならなくなるはずです。
大企業に勤める人の多くは学生時代に一生懸命勉強し、他人よりも”優れている”とされてきた場合が多いのではないでしょうか。
にも関わらず、大企業という、いわば「守られた環境」で数十年勤めた先に明るい未来が待っているのでしょうか。
おそらく答えは「No」
”今日が最も若い日”
今自分ができることを始めてみましょう。